宅配ボックスとは?

宅配ボックスとは、荷物の受取人が不在の場合、配達スタッフがその荷物を入れておける箱のことです。ECサイトなどの普及により、最近ではネットで買い物をする人が増えています。同時に、1人世帯や共働き世帯、さらには労働環境やライフスタイルの変化などにより、在宅時間が短い人が増えています。
それら2つの要因により、負担が一気に押し寄せているのが配達業者です。国土交通省によると、再配達の割合は全国で16%。都市部に限って見ると、その割合は18%にも上っています(2019年4月時点)。再配達は人手不足の配達業者にとっては大きな打撃であり、その割合を減少させることが喫緊の課題となっています。
そんな課題を解決してくれる救世主が、宅配ボックスです。最近は駅やスーパーなどで、日本郵政による「はこぽす」や民間業者による「プドーステーション」のような誰でも利用できる宅配ボックス(宅配ロッカー)を目にすることが多くなってきました。
一般の住宅でも、宅配ボックスを設置する人が増えています。特にマンションなどの集合住宅では、宅配ボックスがあることを入居の条件として部屋探しをする人も少なくありません。今後も宅配ボックスの需要はますます高まっていくことは間違いないでしょう。
ポン
- 宅配ボックスとは受取人不在時に配達スタッフが荷物を入れておける箱のこと
- 配達業者にとっても再配達問題は課題だが、解決してくれるのが宅配ボックスの存在
- 今後も宅配ボックスの需要はますます高まっていくことは間違いない
宅配ボックスを設置するメリット・デメリットを見てみよう!

メリット
宅配ボックスを設置するメリットとして一番に挙げられるのは、やはり利便性の向上でしょう。普段から在宅時間が短い人だけでなく、配達業者が来たタイミングにたまたま不在にしていたという人でも、再配達の依頼をせずに荷物を受け取ることができます。再配達の依頼をすること自体にも手間がかかりますし、指定した日時に急な予定が入り、再び不在にしてしまう可能性もありますよね。宅配ボックスを設置することで、それらの無駄や手間を省くことができます。
また、上記でも触れた通り、最近では宅配ボックスが設置されていることを条件に部屋探しをする人が増えています。一般的に、宅配ボックスありの物件はそれ以外の物件と比べて家賃が高い傾向にありますが、多少家賃が上がってでも宅配ボックスが設置されている物件に住みたいという人々の需要は、今後も衰えることはないでしょう。逆に言えば、空室に悩むオーナーも、宅配ボックスを設置することで入居率を向上させることができる可能性が高いというわけです。
さらに、防犯面から見たメリットもあります。女性や高齢者は、配達業者を装った犯罪者による被害に遭う危険性もあります。宅配ボックスが設置されている家であれば、万が一不審だと感じる配達業者が訪問した場合でも、荷物は宅配ボックスに入れておいてもらえば良いので、そのような犯罪被害を防ぐことができるでしょう。
このように宅配ボックスの設置されている家に住むことで、普段から在宅時間が短い人や1人暮らしの女性であっても気にせずネットショッピングを利用することができるようになります。宅配ボックスは、入居者、配達業者、そしてオーナーの三者にとって、さまざまなメリットがあることがお分かりいただけるでしょう。
デメリット
では、宅配ボックスを設置することのデメリットは何かあるのでしょうか。まず、当然ですが設置するための費用がかかります。また、マンションに設置される宅配ボックスの数は部屋の数よりも少ないため、いっぱいになってしまえば、結局再配達の依頼をせざるを得なくなるというデメリットもあります。
種類によっては、防犯面の心配もあります。マンションなど共用の宅配ボックスでは、暗証番号が書かれた不在票がポストから盗まれ、そのまま荷物も盗まれてしまうという犯罪が起きる可能性があります。また、暗証番号の書き間違いなど、配達業者のミスによるトラブルも否定できません。
このように、宅配ボックスにはいくつかのデメリットもあります。しかしコストを抑える工夫をしたり、トラブルにもきちんと対応してくれる宅配ボックス業者を選ぶことにより、デメリットの多くは解消できるでしょう。
ポン
【メリット】
- 利便性の向上
- 空室に悩む物件のオーナーは入居率を向上できる可能性が高い
- 防犯面でも役立つ
【デメリット】
- 設置に費用がかかる
- 種類によっては防犯面の心配もある
- 暗唱番号の書き間違いなど配達業者のミスによるトラブルもあり得る
宅配ボックスを設置するにはいくらかかる?料金相場を見てみよう!

料金の相場
宅配ボックスの料金体系は、大きく分けてレンタルと買い切りの2種類があります。レンタルの場合月額料金がかかりますが、初期費用を安く抑えることができます。買い切りの場合初期費用が高くなりますが、長い目で見ればお得になる可能性もあります。いずれにせよ、宅配ボックスの料金は箱の数や大きさによってかなり開きがあります。
レンタルタイプの宅配ボックスは、戸建住宅向けのものはあまりありません。集合住宅向けの宅配ボックスは大きさにより、月額6,000円~1万円前後のものが多くなっています。
買い切りの場合はどうでしょうか。戸建住宅向けの宅配ボックスでは、小さいもので4~5万円、大きいもので7~8万円程度の場合が多くなっています。集合住宅向けの宅配ボックスでは、小さいもので10万円以下、大きいものだと80万円以上する場合もあります。
工事費用も掛かるので注意しよう
宅配ボックスを設置するとなったら、忘れてはならないのが工事費用です。業者によっては、高額な宅配ボックスを購入した場合には工事費用の割引を行ってくれるようなところもあるので、業者選びの際には宅配ボックス本体の値段だけではなく、工事費用も含めて総合的に判断するようにしましょう。
具体的な工事費用の相場についてですが、戸建住宅タイプの宅配ボックスの場合、1万5,000円~2万円程度見ておけば良いでしょう。集合住宅タイプの宅配ボックスでは、もともとある集合ポストの下などに設置できる場合は10万円程度、スペースに余裕がなく、ポストごと交換するような場合であれば20万円程度はかかるでしょう。
集合住宅タイプの宅配ボックスの場合、大きさによっては工事費用がもっと高額になる場合もあります。いずれにしても、業者によって工事費用は異なるため、詳細な金額は個別に問い合わせてみてください。
ポン
- レンタルと買い切りの2種類がある
- レンタルタイプは月額6,000円~1万円前後のものが多い
- 戸建て向けの買い切りタイプは小さいもので4~5万円、大きいもので7~8万円程度が多い
- 集合住宅向けの買い切りタイプは小さいもので10万円以下、大きいものだと80万円以上するものもある
- 戸建住宅で設置する場合1万5,000円~2万円程度、集合住宅に設置する場合10~20万円ほどの工事費用がかかる
宅配ボックスを設置する際に気になるポイント!

運送会社の対応について
宅配ボックスは、再配達問題に悩まされる運送会社にとっても救世主のような存在であることはすでにご説明しました。しかし運送会社によっては、預かった荷物を宅配ボックスへ入れてくれない場合もあります。それはなぜでしょうか。
当然、荷物の中身が生ものや貴重品などの場合は、宅配ボックスへ入れることはできません。ただ、一般的な荷物であっても、表札が出ておらず、転居の可能性があるからという理由で、トラブルの回避のために持ち帰ってしまうことがあります。とは言え、防犯のために表札を出さない人も多いでしょう。その場合は、配達を依頼する際に「不在時宅配ボックス希望」と明記するなどの配慮が必要になります。
また、運送会社の約款で、宅配ボックスへの配達が定められていないケースもあります。その場合、いくら希望を明記していても宅配ボックスへ入れてもらうことはできないかもしれません。気になる方は、宅配ボックスへの配達が可能な会社かどうか、あらかじめ調べておくと良いでしょう。
もうひとつ注意してほしい点が、万が一盗難などが起きた場合でも、運送会社は一切責任を負えないということです。もちろん、配達員のミスで鍵を閉め忘れたり、別の部屋の宅配ボックスに荷物を入れてしまったりする可能性もありますが、確実な証拠がない限り、運送会社に責任を負わせるのは難しいということは覚えておきましょう。
盗難やセキュリティの問題
宅配ボックスを設置するデメリットの項目でも述べましたが、集合住宅タイプの宅配ボックスの場合、暗証番号がバレてしまうことで荷物が盗まれるという危険性があります。ただ、最近はICカード式やコンピューター制御されたものなど、ダイヤル式ではない宅配ボックスも増えているので、第三者に宅配ボックスの鍵を開けられてしまうというリスクは最低限まで抑えることができます。
よりリスクが高いのは戸建住宅タイプの宅配ボックスです。宅配ボックスの需要の高まりから、最近では手軽に設置できる商品が増えています。しかしポリエステルやプラスチックなど弱い素材でできている宅配ボックスの場合、簡単に壊されて荷物を盗まれたり、宅配ボックスごと持ち去られたりする可能性もあります。また、荷物ではなく、印鑑が盗まれるという被害も想定されます。
盗難やセキュリティの問題を100%排除することは困難かもしれませんが、頑丈な宅配ボックスやサポート体制が整った業者を選ぶことで、限りなく100%に近づけることは可能です。また、宅配ボックスが見える位置に防犯カメラを設置することも、犯罪の抑止として有効な手段の1つでしょう。
ポン
【運送会社の対応について】
- 荷物の中身が生ものや貴重品などの場合は、宅配ボックスに入れられないので注意しよう
- トラブル回避のため持ち帰ることもあるので、「不在時宅配ボックス希望」と明記するなど配慮が必要
- 業者によっては宅配ボックスへの配達を認めていないケースもある
- 万が一盗難などが起きた場合でも、運送会社は一切責任を負えないので注意
【盗難やセキュリティの問題】
- ICカード式やコンピューター制御されたものなら盗難などのリスクを減らせる
- 頑丈な宅配ボックスやサポート体制が整った業者を選べば安心
- 近くに防犯カメラの設置も有効
ユーザーが気になる部分をチェックしておこう!

容量で選ぶ
宅配ボックスは、大きさによって値段が異なります。ですから個人で宅配ボックスを購入する場合、大型の荷物を頻繁に受け取るという人以外は、あまり大きすぎる宅配ボックスを選ぶ必要はないでしょう。
集合住宅向けのものは、鍵の種類ごとに必要な容量が異なります。従来のようなダイヤル式の場合は、世帯数の45~50%程度、コンピューター式(オフラインタイプ)の場合は世帯数の30~35%程度、コンピューター式(オンラインタイプ)の場合は世帯数の20~25%程度のボックス数が必要と言われます。
せっかく設置してもいつもいっぱいで使用できないということになれば、コストも無駄になりますし、入居者も不満を感じるでしょう。なるべく省スペースで宅配ボックスを設置したいのであれば、より最新式の宅配ボックスを選ぶのがおすすめです。
操作性で選ぶ
上記でも述べましたが、宅配ボックスは大きく分けてダイヤル式とコンピューター式の2種類があります。ダイヤル式の場合、設置するのが簡単で費用もリーズナブルですが、暗証番号がバレることによる盗難や、配達員が暗証番号を書き間違えることで開錠できなくなるなどのリスクがあります。
コンピューター式の場合設置のハードルは上がりますが、部屋ごとに暗証番号を設定できたり、操作履歴が残せたりするため、セキュリティー面では安心です。操作も、タッチパネルや、カードやキーヘッドを「ピッ」とタッチするだけなど、簡単に開錠できるものが多くなっています。
さらにオンライン接続されているタイプの宅配ボックスであれば、遠隔地からリアルタイムで使用状況を監視・管理。扉が開かなくなったり、子どもが誤って閉じ込められるなどのトラブルの際も安心です。
デザインで選ぶ
いわゆる宅配ボックスと言うと、無機質でありきたりなデザインのものしかないと思う人もいるかもしれません。しかし宅配ボックスの需要がどんどん高まってきている昨今、さまざまなデザインの商品が生み出されています。
戸建住宅にお住まいであれば、当然見た目にもこだわりたいという人は多いのではないでしょうか。容量や操作性はもちろんのこと、色や素材などのデザイン面も考慮して選ぶと良いでしょう。
集合住宅の場合も、建物の雰囲気に合わせたデザインの宅配ボックスを選ぶことをおすすめします。最近は集合住宅向けの宅配ボックスも、色や素材のバリエーションが増えています。入居率アップのためにも、ぜひデザイン性の高い宅配ボックスを選んでみてはいかがでしょうか。
設置方法で選ぶ
宅配ボックス選びでは、設置方法も重要になります。特に賃貸に住んでいる方は、宅配ボックスの設置に許可を得なければなりません。タイプによって特徴が大きく変わるため、機能面だけでなく設置方法にも気を配りましょう。
まず挙げられるのは、「簡易設置タイプ」。こちらは玄関先に置くだけで使えるため、集合住宅や賃貸などで利用されることが多いです。中には、バッグ程度の小型なものもあり、低価格で購入できる特徴があります。また、固定はワイヤーでドアに行うものが主流で、工事の手間がかからない点もメリットです。しかし、その分セキュリティは低く、見た目があまりよくない点がデメリットです。
次に紹介するのは、「工事設置タイプ」。こちらは工事が必要な分頑丈な作りとなっていて、セキュリティと耐久性が高い特徴があります。新築であれば埋め込みの設置も可能なため、住宅のデザインを崩さずに設置できるのも強みです。しかし、金属製の宅配ボックスは値段が高く、工事費用に加えてかなりの金額がかかる点に注意してください。
このように、宅配ボックスは設置方法によってメリット・デメリットが異なります。デザインや機能だけでなく、こういった設置方法も視野に入れて宅配ボックスを選ぶのも一つの方法です。
ポン
- 容量で選ぶ…宅配ボックスは大きさによって価格が変わるので、必要以上に大きなものを買う必要はない
- 操作性で選ぶ…ダイヤル式とコンピューター式の2種類があり、自分が使いやすいと思うものを選ぼう
- デザインで選ぶ…さまざまなデザインの商品も出ているので、色や素材などにこだわって選ぶのもおすすめ
知らないだけで沢山ある?宅配ボックスの種類

ここまで、宅配ボックスに関してさまざまな観点からご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。最後にその種類について、改めてまとめてみましょう。
戸建住宅
戸建住宅向けの宅配ボックスには、ポリエステル、プラスチック、スチール、ステンレスなど、素材の違いがあります。ポリエステルやプラスチックのものは設置が簡単ですが、その分盗難の被害にも遭いやすいというのがネックです。金属製のものは防サビ仕様のものを選べば、耐久性にも期待できます。
最近ではカラーバリエーションも豊富なので、好みやお家の雰囲気に合わせることができます。ただ、デザインにこだわりすぎると、配達スタッフに宅配ボックスだと気づいてもらえない可能性もあります。機能や安全性、デザイン、コストなどを総合的に鑑みて、最適なものを選ぶようにしてください。
集合住宅(アパート・マンション)
集合住宅向けの宅配ボックスは、まず容量を考える必要があります。数世帯のみのアパートと、数百~1,000戸以上のタワーマンションでは、当然必要なボックス数が異なります。また、宅配ボックスを置くスペースの問題もあります。
開錠方法の違いもあります。従来のダイヤル式のものはリーズナブルで設置も簡単ですが、コンピューター式に比べると盗難のリスクは高めです。一方コンピューター式はセキュリティの面では安心ですが、導入コストが高く、電源につなぐ必要があるため設置のハードルも上がります。ただ、オンラインタイプのものであれば遠隔地から24時間365日監視してもらうことができるため、オーナーによる管理面の負担はなくなります。
複数の業者を比較しよう
宅配ボックスの違いだけでなく、業者ごとのサービスを比較することも忘れてはいけません。たとえば、宅配ボックス自体がオンラインに接続していなくても、電話1本で24時間365日いつでも駆けつけてくれる業者もあります。そのような業者であれば、従来のダイヤル式の宅配ボックスであっても、セキュリティ面や管理面での不安はなくなります。設置のハードルも低く導入コストも抑えられるので、一石三鳥とも四鳥とも言えるでしょう。
ただ、世帯数の多いマンションであれば、いちいち電話をするのはかなりの手間がかかります。また、緊急のトラブルではありませんが、宅配ボックスをロッカー代わりにしていつまでも荷物を受け取らない迷惑な入居者もいます。そのケースでは、長期間荷物を受け取っていないことを入居者に直接伝えられるオンラインタイプの宅配ボックスのほうが良いでしょう。
自分が管理している集合住宅にはどんなタイプ・種類の宅配ボックスが最適なのか、なかなか分かりづらいものですが、一番大切なのは、複数の業者を比較することです。最適な宅配ボックスを設置して、入居率の向上はもちろん、すでに入居してくれている人の満足度もアップできたら理想的ですね。
ポン
- 戸建住宅には耐久性が高い防サビ仕様のものが安心
- オンラインタイプのものであれば遠隔地から24時間365日監視してもらえるので集合住宅に向いている
- 最適な宅配ボックスを選ぶためにも複数の業者を比較しよう